電波男

 やっと読み終わった…。面白いけど一気には読めなかった。悲しいぐらい攻撃的で、『オタク本』ってよりも新興宗教の経典みたいなカンジだな。実際に作者の本田透さんがカルトグルとかになったら凄いことになりそうね。キモメン王国:国民1000万人、強固な基盤を活かして政界に殴りこみ。おぉ、面白いぞ。人権擁護法反対!
 読んでて、自分の今までの恋愛は焦燥・虚栄・性欲等だけからくるのもだったのか、考えさせられた。そんなこと無いと思うけどなぁ。『生まれながらに愛されない人間』って表現がちょっとひっかかる。でもあとがき読んでなんか納得。買う気のない人は本屋でまえがきと目次とあとがきだけでも立ち読みして欲しい。
 村崎百朗が「恋愛とは淫波の出し合い。惚れるとは相手の淫波に負けること」って言ってたけどそーゆーことだよね。ただ電波男ではそれらの淫波は生まれ持ってものもじゃなくて、恋愛資本主義に刷り込まれたものだって断言している。前にも書いたけど、ヴィトンのバッグを持っているのにマーク・ジェイコブスを知らないってものまさにコレだよね。『ヴィトンはかっこいいものなので買いましょう』『みんながヴィトンを持ってるし、雑誌にも書いてあるから買わなきゃモテない!』うん、頑張ってくれ。
 で、自分の話しだけどさ、私も恋愛資本主義で言うところの最低ランク『キモオタ』なわけです。大学デビューってわけじゃないけど、見下されないように、「キモいオタク」と言われないように服装に気を使ったりした。だって、背が低いし顔も最低ランクだしバイトが出来ないから金もない。体型だけは努力でなんとかなるんで頑張って鍛えたけど…。とにかくこの本で言うとこの『恋愛資本主義』の奴隷になるべく努力したさね。でも根本は変わらない。就活が始まって、髪を黒く短くし、ピアスとヒゲがなくなり、個性を出し辛い(出しても多くの人はわかってくれない、てか出しちゃマズイ)スーツを身を纏うと私には何も無くなった。ここに来ていろいろな免罪符に頼ってたことを実感した。逃げられない。裸になった私はキモオタそのものだった。
 そんな私がこの本に救われたかってゆーと、そんなことも無い。でも決してこの本の内容をけなしたりもしない。共感する部分が余りにも多かったから。たださ、『モテる努力』じゃなくても『自分を高める努力』はしつづけたい。オシャレってファッション誌をなぞることじゃない。と思う(弱気)。いや、なぞったほうがモテるのは確かなんだが。多くのオタク(もちろん私を含む)がエロゲーや同人誌に『救い』を求めてないのと同じで『楽しいから』服を着てるわけです。当然電波男に書いてあるように顔の致命的なキモさを隠す意味もあるけどさ。でも単純に『カッコイイ』と『カッコ悪い』だったらカッコイイのほうがいいと思うが。
 結局何が言いたいかとゆーと、この本の内容を実戦に移せる人間は強い人だけだってことです。ヘタレチキンの私には無理。『モテる技術』を読んだ時もこんな感想だったな。たぶん私は最後までコウモリのように(あるいはネズミ男のように)どっちつかずでフラフラして死ぬまで生きることでしょう。